ブログの渋谷

市場を変えるっていうこと

2010年12月19日

それって、そんなに簡単なことじゃない。
なんて当たり前のことで、既存市場がすでに何十年も存在する業態には、既得権益や既存業態の枠組み、プレイヤー達の立ち位置、経験に裏付けられたノウハウ、歴史、暗黙の了解などが精緻に存在し、そうそう簡単に既存市場に参入させてもらえるはずもない。
だから、一つのことに集中してジックリその市場に根ざし、市場での立ち位置を地道に一歩ずつ確保しながら成長していくって事業の手法がこの国では普通なわけで。
海外から見れば閉鎖的と映る日本市場そのもの。
参入障壁とは、案外事業上の効率化やシステム化による流通の変化などではなくて、"そこに根ざしているプレイヤー達の気持ちに納得感を持たせるか"のような気がする。
論理的に素晴らしい既存市場での事業スタイルを改革するような事業モデルがよく失敗する原因の多くはここにある。
仮にその市場の顧客に改革的な手法で迎えられるようなことがあった場合には、その力の強さによってプレイヤーの気持ちの納得感は変化するもの。
どのみち、既存の枠組みとは違う手法でその市場を攻めるのであれば、できる限り強い力で攻めるか、地道に時間をかけて低い立ち位置から一歩ずつ進むかどちらかだ。
この力の強さとは相対的なもので、その市場が成長期や成熟期にあり一定の強さがある場合には相当強大でなければ厳しい。
しかし、衰退期に入り市場そのものがシュリンクし始めている場合には、参入の可能性は高まる。
その代わり、そもそも市場が縮小しているわけなので、そこで得ることができる利も減るわけで。
同時に忘れてはならないのは、自分たちにその力があるかの客観的な判断である。
相対的なものなのだから、自分たちにどれだけの力があるのか?を知らなければ、適切な計画は立てられない。

そんなことを考えていると、

私たちが有する力とは?
私たちがどれだけその市場を知っているのか?
市場のライフサイクルでのフェーズは?
その市場に脈々と根ざしてきたプレイヤー達の力とは?
仮にその市場にドラスティックな手法で参入できた場合の利の範囲とは?

などなど、冷静な判断が無ければ必ず失敗すると感じている。

私たちの事業では「地域情報化」「携帯電話(モバイル)販売」については、15~20年が経過し、ようやくその市場でのプレイヤーとしての立ち位置が与えられてきた。
「人材」「リアルアプリ」などは、モバイル事業の派生なので、どちらかと言えば市場を変えた訳ではない。
「モバイルソリューション」「オープンマーケットでのビジネスアプリケーション」については、全ての市場に参入するための手法と言うことになるが、これについては技術革新が先行する導入期フェーズなので、多くの企業に機会がある。
では、創業の事業であるはずの「自動車電装」についてはどうだ?
ここはすでに私たちの市場では無くなっており、新たに参入するなら私たちは新参者と言える。
ここ15年程度の間、その市場のプレイヤーであることを必死に守ってきた人材も高齢化が進んでいるし、脈々と引き継がれてきたものをすでに失っている。
しかし、新規参入の意思を持って、再び古巣市場に戻るならそれも良しか。
私たちが有する力は、たかが知れている。
冷静な判断でしっかりとバランスしながら、勘違いせずにチャレンジしていきたい。
厳しいことがあるのは百も承知。
しかし、自責の中でそれと戦えないと既存市場攻略なんてできるはずもない。
「○○○で無くてはならない!」と言う断定的で冷静な判断を失う言い回しはできるだけしない方がいいのだが、ここだけは「やらねばならぬ!」と言いたい。
過去64年間、多くの方々に支えられてきた創業の事業。
私の人生一度きり。
ここだけは避けては通れぬ道だろう。

  • 投稿者 shibuya